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AI社会に適応することは昆虫食に馴染むこと!?

 書店の平積みコーナーの新刊書を概観すると、未来予測というキーワードのものが驚くほど出されている。とりわけ、落合陽一、堀江貴文、成毛眞、そして昨年あたりからひろゆきのものまで目に付くようになってきている。いわばSNS社会で活躍し、ファンを増やしている方々である。まず、具体的書籍を挙げてみる。
 ひと昔前なら、地上波で名を馳せた有名人、芸能人、アスリートであったが、令和に至っては、ユーチューバーやデジタル社会の申し子にアナログの象徴でもある紙の書籍を書かせている塩梅である。
 『半歩先を読む思考法』(落合陽一)『2030世界地図帳』(落合陽一)『10年後の仕事図鑑』(落合陽一・堀江貴文)『ニッポン2021-2050』(落合陽一・猪瀬直樹)『2040の未来予測』(成毛眞)など枚挙にいとまがないほど、“近未来を予測する”というものが共通事項である。
 恐らく、不確実な、不透明な近未来への不安を、出版社が嗅ぎ分け、世の“知のアイドル”、“ビジネス界の異端児”、“AI社会完全肯定オヤジ”などに未来を予想させてもいるのであろう。こうした傾向をみると、<我こそがAI社会のノストラダムである>かのような立ち居振る舞いに見える。それだけ、ビジネスマンや社会人が、将来への不安がある証拠でもあろう。南海トラフ地震や富士山噴火といった大災害をパーセンテージという、科学的確からしさで、日本国民に災害時の予防策や心得を説く、いや恐怖心を煽る一部の学者に似て非ではない。
 こうした<未来予想の教祖様たち>のおっしゃる言説を、鵜呑みにする、参考にするも大いに結構である。
 
 話は変わるが、近未来は、人口増と異常気象により、穀物類から魚や肉にいたるまで、食糧危機が訪れるとも声高に叫ばれている現代である。地球上で食い物の争奪戦が起こるともいう。それに備えて、昆虫食が今や、静かなブームであるらしい。それに対しての自己防衛策の一つでもある。食糧難から、人類が食指を伸ばしてこなかったジャンル、昆虫に視線が注がれてもいる。特に、近年有名な例はコオロギであるそうだ。色々な栄養素をふんだんに含み、パウダー状のものも出回っている。これからは害虫とされるバッタやイナゴなどもその対象になるだろう。カブトムシや芋虫も考えられよう。
 
 実は、この近未来の地球上の食糧難に備えて、昆虫食を始めましょう、昆虫食に違和感のない子どもに育てましょう、昆虫食を週一回、学校給食や家庭で実践しましょう、こうしたスローガンが国家、社会レベルで湧き上がりかねない現状(夜明け前)にいるように思える。四本脚で食べられないものは、テーブルと椅子だけとも言われる中国なら起こりかねない趨勢である。デジタルネイティヴならぬインセクトネイティブの出現社会である。
 
 ここである、分岐点は!私なんぞは、食い物が無くなってきたら、禅宗僧が実践している食生活に立ち返り、そんな昆虫を食ってまで、自分を騙して昆虫食文化にかぶれたいとも思ってもいない。そんな社会になったらなったで、覚悟を決めている。昆虫食なんぞは、社会が、個人に押しつける危機管理のようなものである。余計なお世話であると言いたい!
 
 実は、AI社会でどう生き延びてゆくかといった命題は、昆虫食をどう自身に馴染ませてゆくかといったテーマと通底しているものがある。AI社会に適応できなければアナログ気質を貫けばいいだけの話だ。また、昆虫なんて食べられない趣向の人は、精進料理、懐石料理、究極は、今でも行われている禅僧の食習慣に立ち返ればいいだけの話である。欧米流にいえば、ベジタリアン、または、ヴィーガンになりさえすればいいのである。
 
 落合、堀江、成毛氏などが、主張されてもいるこれからのAI社会、デジタル社会をどう生き抜くかといったハウツー本なるものは、端折っていえば、これからの食糧難にぶち当たる地球市民にどう昆虫食に馴染んで生き抜けるかの料理研究家のレシピ的提言のように思えて仕方がないのである。彼らの説くのは、幸せを手にいれようとする知恵でもある。どうしたら幸せが手に入るかのハウツー本でもある。しかし、彼らとは別次元の智慧を有すれば、幸せは向こうからやってくるものである。

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