カテゴリ

HOME > コラム > 英語力の低さと電子マネー普及率の低さ

コラム

< Prev  |  一覧へ戻る  |  Next >

英語力の低さと電子マネー普及率の低さ

 電子マネーに関して、アジア先進諸国の中で、日本が一番普及率が低いとされています。この原因が、どこにあるのか、情報通の方、またメディア等で知っている方も多いかと存じますが、それは、日本の紙幣の質の高さに原因あるとされます。日本の造幣力の水準の高さは、世界でも指折りのもの、恐らく世界でも1位か、2位に入れてもおかしくないものです。日本人の電子マネー普及率の低さは、最も偽造されにくい紙幣、最も消耗しない丈夫さなどに起因する信用度の高さが、皮肉にも貢献しているのです。
 スマホの普及率も、アジア先進国では日本では上位にはきません。これも、理由は簡単です。中国などは国土が広大で、秘境から僻地へ、そして農村部と電線の普及が20年以上前には、道路や鉄道等のインフラ同様に超遅れてもいました。そこに、ファーウェイなどのスマホ企業(中国共産党による国家資本主義のおかげ)の台頭、そして、アリババなどのネット通販の拡大、中国政府による、個人情報管理をも含めたスマホ決済の奨励、もともと日本のように充実した電線や地中の回線などのインフラが、途上国ゆえの超不十分なお国柄、そして中国共産党独裁体制委が幸いしたこともあるでしょう、あっという間に、スマホが普及し、それに玉突き状態で、電子マネー決済の先進国と相成ったのです。その背後には、人民紙幣の質の悪さが追い風にもなっています。
 韓国のように、国家の経済的命運を決める財閥という存在の立ち位置にいるサムスンのように、アジア通貨危機を経験した韓国経済のエンジン役となるスマホ大企業の重要性は、日本には、必要なかった。日本では、製造業の雄の存在{※自動車や家電}が、先端企業たる進取の精神・使命を認識させてはこなかった、忘れさせていたことも理由にあるでしょう。GAFAというプラットフォームに乗っかる電子機器企業、ファーウェイやサムスンを生み出さなかった大きな要因でもあります。
 中国にはファーウェイ、韓国にはサムスンというスマホの大企業が生まれました。こうした電子ツールの大企業の背後に国家という存在がいます。また、両国も、紙幣の質のレベルでは、到底日本の紙幣の質には敵わない。そのプラス要因とマイナス要因の掛け算で、日本は、電子マネー決済で両国の後塵を拝するまでになってしまったのです。
 さて前置きはこれ位にして、実は、日本の巨大スマホ企業の誕生の立ち遅れ、電子マネーの普及率の低さは、中国や韓国に比して、日本の英語力の低さと同根のものがあると思えてならないのです。まさしく、日本の紙幣の質の高さ、これなんぞは、日本語の素晴らしさ、優秀性とも比肩できるのです。中国や韓国など、当然、フィリピンやインドなども含まれますが、彼らの母国語{中国語・ハングル・タガログ語・ヒンディ語}では、高等教育{大学教育}を受けることが不十分なのです。また、自身の母語だけでは、世界的大企業への就職は当然ながらおぼつかない立ち位置にいるのです。彼らにとっては、英語こそエリートのパスポートであります。日本は、こういう状況ではありません。日本なら、英語なんぞ喋れなくても、東工大や早稲田の理工の学生で、素晴らしい研究成果を上げた人、有能なスキルを身に付けた人は、超有名企業に就職もできましょうし、また、文系の学生でも、日本の大企業なら、英語が流暢に話せて、仕事がいまいちの学生よりも英語がいまいちでもリーダーシップやバイタリティにあふれ、仕事ができる学生{※体育会系が就活で有利な理由の一つ}を採用したいと企業の幹部は考えてもいるでしょう。そうなのです、日本では、英語力{※話せる英語力}は必要条件ではなく、エリートの証明書{※英語ぺらぺら学生コール優秀学生との幻想があります。割合的には、60%前後はそうかもしれません}でもありません。仕事ができることが十分条件とされますが、中国や韓国では、その両方が求められるのです。その淵源は、日本という国にいれば、日本語という素晴らしさが日本国民の英語力の邪魔をしているのです。何も、英語教育がこれまで巷で言われているほど間違っていたわけではないのです。日本紙幣の素晴らしさで、わざわざ、電子マネーを利用する動機や必然性が湧いてこないのと同じです。裕福で育った子供が、社会人になってハングリーさに欠けるように、‘英語なんて別に必要ないさ’といった内面の無意識のささやきで、勉学しないのです。必死さがない、学ぶ必要性がない、学ぶ動機すらも曖昧です。こうした学習姿勢で、英語など使えるようにはなりません。今般、2020年度から<読み・書き・聞く・話す>という4拍子そろった使える英語を旗印に英語入試大改革を行おうとしていますが、日本人の英語力はむしろ下降線をたどると私は予言します。
 そうなのです、日本人が、TOEFLやTOEICの点数で、中国や韓国などに点数で負ける理由は、スマホ決済率の低さ、スマホの日常生活への浸透度の低さ、デジタル生活の必要性への切迫感の欠如、それはまさしく英語の本当の意味での必要性が自覚されてもいないことと同じであります。昔、経済評論家の日下公人氏が「アジアの国で母国語だけで医者になれる国は日本だけだと、ヨーロッパ人に語ったところ、それは嘘だ!信じられない!と反論してきた」とラジオで語っていたことが今でも忘れられません。日本人の医師の英会話のレベルと海外の医師のそれとを比較すると面白いかもしれません。
 結論を申し上げましょう。日本人が流暢に英語が話せない理由は、学校英語に原因があるわけではなく、英語教師にあるわけでもありません。むしろ、日本人が置かれている素晴らしい日本語に守られている恵まれた言語環境にこそあるのです。それは、畢竟、日本で電子マネーが普及しない原因の一つが、日本の紙幣の質の高さにあるということと同根であるということを主張しておきたいと思います。皮肉まじりに言わせてもらいます。日本の紙幣の質を落とし、偽造可能なレベルにまで意図的に改悪すれば、電子マネーが中国・韓国並みに普及してもくるでしょう。しかし、安倍・麻生コンビは、数年後、更に質の高い新紙幣発行へと踏み切りました。こうした電子マネー奨励とさらなる高品質の新紙幣への切り替え政策は、アクセルを踏みながらブレーキを踏む行為に思えてなりません。国家紙幣への信用度は不変のままです。良質の紙幣があれば十分という国民性を変えねば電子マネーへの移行は現状のままでしょう。良質の紙幣イコール素晴らしい日本語。日本語の質・レベルを落とす、乱す、そうすれば、英語が話せる日本人が今より多くなるでしょう。いや、そうではありません、日本語の質の劣化、乱れた日本語が普及すればするほど、今度は、日本人は、もっと‘ユニクロ英語’に染まって、日本人の理系に支えられてきた製造業の空洞化・製品のレベル低下を招き、亡国へと邁進してゆくことでしょう。この英語と日本語、電子マネーと日本銀行券、日本人は、このジレンマに陥ってもいるのです。
 
 

< Prev  |  一覧へ戻る  |  Next >

このページのトップへ