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数学随想③

 
英検はメジャー、数検はマイナー、何故?
 
 ご存じの方も多いかと思いますが、数年前から、高橋洋翔君という小学生がワイドショーなどで度々取り上げられてきました。小学校1年の時、数学検定2級、小学校2年で準1級、そして、小学校5年で1級をゲットした、今、静かな話題となっている12歳の天才数学少年です。世のお母様方で、彼を見て、「我が子も、数学を幼少期からやらせよう」とテンションを上げるのは極少数派だと思われます。いや、ほとんどいないのではないでしょうか?
 それは数学という科目の有用性と我が子の潜在能力への懐疑、それに、どう指導してよいかといった教育手法などなどがないまぜとなり、数学幼児教育へと踏み出せないのでありましょう。
 
エリート親子の勉強スタイルは、真似るのではなく、参考程度に!
 
 そうです。その判断は、ほぼ正しいのです。我が子4人を東大理科Ⅲ類へと合格させた佐藤ママこと、佐藤亮子氏の本を読んで、即、彼女の真似をしようなどと思わないのが賢明なのと同じであります。彼女は、幼稚園のうちに、小学校の低学年の算数は公文式などで抜け駆けしておくことを勧めている点は、半分理解・納得はできる点ではありますが、それ以外、専業主婦として、母親自身の人生を我が子4人に捧げる彼女の流儀は、尋常なる親御さんには真似はできないものです。
 この高橋洋翔君の事例も同様です。彼の両親はメディアには、一切顔を出しません。佐藤亮子ママと真逆であります。これほどの数学天才少年を育てあげた親御さんは、一般的に、ビリギャルのママ同様にテレビなどに登場するものです。しかし、洋翔君のご両親はその声さえ聞かれません。彼のご両親は、二人とも東大卒とのこと、そして、我が子のIQなども客観的に把握しているものと思われます。恐らく、だから、「私たち親子の数学教育は、一般の人には参考にはなりませよ」と慮ってなのかはわかりませんが、一切、洋翔君の育て方などコメントが伝わっては来ません。この点で、彼の両親は、自身の教育の流儀に謙虚であり、良心的でもあります。
 
小学生で英検2級以上ホルダーは何らかのバックグラウンドがあり!
 
 小学生で、英検準1級や1級をゲットされたお子さんをお持ちの母親や父親が、実は、帰国子女だったり、ネイティヴだったり、時に、佐藤亮子ママのように英語教師だったり、その家族のバックグラウンド(背景)を露骨に触れずに、我が子の力のみで英検1級が取れた、幼児英会話教室のみで1級が取れたかのように、アピールする“性悪”のお母様などいらっしゃいますが、これなんぞは、女子校でよく見られる、「私、塾なんか通ってないのよ」と友人に嘘をつき、学校の成績がいい“性格”の悪い女子にそっくりに思えてなりません
 ここまで、数学検定1級と英語検定1級を、小学生の段階でゲットすべきか否か・可能か否かの流れで述べてきましたが、小学校の段階で、英語検定4級、3級は常識、日常茶飯事の教育抜け駆け現象として、今や不自然とは全く感じない、むしろ、小学校の段階で、高校卒業程度の英語検定2級を取らさせようと指導する親御さんも不自然には思われない今日この頃です。
 
数学検定のみが一番日陰者的存在、その意識を変える工夫も必要!
 
そこでです。これが、歴史検定ともなると、超オタク的な、歴史マニアなどの資格検定ともなり、少々マイナーなイメージを抱かれることでしょう。更に、小学生で漢字検定2級をゲットするというのも少々日本語に偏りすぎた教育方針とも受け取られかねません。また、歴史の知識や漢字の習得なら、親子で、二人三脚で学習する手もあるかと思います。ところが、事が数学、また、数学検定ともなると、学習の抜け駆けは、英語検定以上に困難極まることは想像に難くありません。親自身が教えられるか否か、また、一般の習い事の塾の数と比較しても、大変な制約があるからです。ですから、数学検定の受験など、我が子に中学生ならまだしも、小学校から始めるなど未知の領域でもあるのでしょう。
 そうです。<英語検定・漢字検定・歴史検定>と<数学検定>とは、中学校から数学という教科が始まるゆえに、親御さんの中でも、一般的常識、社会通念からも、別世界の抜け駆け学習と受け取られてもいるのです。世に、算数検定などありません、よって、中学生になるまで、数学検定の“数の字”さえ頭の片隅にはないのです。この、英検と数検の意識・認識のギャップこそ、実は、中等教育における、数学嫌い・数学離れの理由の一つであるように思えてならないのです。
 前回の数学随想②でも触れたように、数学の小学校からの先取り授業、これを英語教育同様に実践しなければ、数学嫌い、数学離れを防ぐことはできないというのが私の個人的考えです。少々極論であることは認識の上で申しているまでです。
 
数学と英語は今の40名の集団授業では抜け駆け生徒が勝者になる!
 
 どの科目でも同じでしょうが、集団授業、それも40名前後で行われる授業では、それが復習の場になっていなければ、今の日本、つまり、OECD加盟国の中で教育に対する公的支出が最低ランクに位置している“金のない国”では、真の意味で、好き、得意、そして将来への武器となる教科にはならないという至って当たり前の真実に、気付くか否かが、我が子の将来の明暗をも分けてもいるのです。
 現在の小中の公立学校の義務教育だけで成績を上げることは、国民年金{※厚生年金ではありません=私立}だけで老後を生活しなければならない70歳以上の後期高齢者と同じ運命なのです。(つづく)

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